「解放」70年-植民地支配の克服と東アジアの平和を求める在日コリアン青年アピール
- 2015/09/01
- 14:10
「解放」70年-植民地支配の克服と東アジアの平和を求める在日コリアン青年アピール
今年2015年は戦後70年、在日コリアンにとっては「解放」70年の節目の年です。今月14日、安倍首相は戦後70年の談話を発表しました。植民地支配と侵略の事実を認め「お詫び」を表明した1995年の「村山談話」をかねてから否定してきた安倍首相による談話は、「歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります」との表現で、過去の談話を踏襲する立場が示されました。しかし冒頭から「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」という一方的な歴史観が表明され、侵略戦争の根拠には「経済のブロック化」の強調、朝鮮半島については具体的な記述が無いまま「植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」と一般論として語られるにとどまっています。また日本軍「慰安婦」問題については「女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去」と極めて曖昧な表現で、加害行為と責任主体が明示されていません。かたや連合国の捕虜に対する「感謝」の表明は、戦勝国と旧植民地国に対する眼差しの違いを感じさせます。
また、未来に向けて、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と述べられていますが、私たち在日コリアンは「あの戦争には何ら関わりなく」生きようとも、常に存在自体が歴史認識論争の的となり、ヘイトスピーチと向き合うことを強いられています。真の意味で「植民地支配から永遠に訣別」するためには、植民地支配がどのようなものであったかを明らかにした上で、関係性を克服するための歴史教育が必要です。来年度から使用される検定教科書に「慰安婦」問題や関東大震災の朝鮮人虐殺の記述が大幅に削除されたことも、私たちは大変憂慮しています。在日コリアン青年が安心して日本で暮らせるよう、歴史教育の見直し、民族教育権の保障、ヘイトスピーチ法規制・差別禁止法の制定といった課題に、日本政府は積極的に取り組むべきです。
現在、集団的自衛権を容認し平和憲法を蔑ろにする安全保障法制が成立しようとしています。私たちは、日本が過去の過ちを直視せず、再び「戦争のできる国」へと進んでいくことに強い危機感を抱きます。私たち在日コリアンは日本の朝鮮植民地支配により生まれた存在です。それは、日本のアジア侵略と戦争被害の歴史を物語る存在であり、国家権力による抑圧や影響下に常に置かれてきた存在であることを意味します。
加害の事実に目を背け、再び戦争ができる国を目指す今の日本社会の情勢を目の前にし、被害者、社会的弱者の視点から真の植民地支配の克服と東アジアの平和の実現のために、私たちは在日コリアンの歩みを学び、身近な友人、まだ見ぬ在日コリアン青年、そして日本社会と朝鮮半島双方に発信していくことで、歴史を直視し世代を繋ぐ役割を、今後も積極的に果たしていくよう、努めていきます。
2015年8月30日
在日コリアン青年連合(KEY)
今年2015年は戦後70年、在日コリアンにとっては「解放」70年の節目の年です。今月14日、安倍首相は戦後70年の談話を発表しました。植民地支配と侵略の事実を認め「お詫び」を表明した1995年の「村山談話」をかねてから否定してきた安倍首相による談話は、「歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります」との表現で、過去の談話を踏襲する立場が示されました。しかし冒頭から「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」という一方的な歴史観が表明され、侵略戦争の根拠には「経済のブロック化」の強調、朝鮮半島については具体的な記述が無いまま「植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」と一般論として語られるにとどまっています。また日本軍「慰安婦」問題については「女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去」と極めて曖昧な表現で、加害行為と責任主体が明示されていません。かたや連合国の捕虜に対する「感謝」の表明は、戦勝国と旧植民地国に対する眼差しの違いを感じさせます。
また、未来に向けて、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と述べられていますが、私たち在日コリアンは「あの戦争には何ら関わりなく」生きようとも、常に存在自体が歴史認識論争の的となり、ヘイトスピーチと向き合うことを強いられています。真の意味で「植民地支配から永遠に訣別」するためには、植民地支配がどのようなものであったかを明らかにした上で、関係性を克服するための歴史教育が必要です。来年度から使用される検定教科書に「慰安婦」問題や関東大震災の朝鮮人虐殺の記述が大幅に削除されたことも、私たちは大変憂慮しています。在日コリアン青年が安心して日本で暮らせるよう、歴史教育の見直し、民族教育権の保障、ヘイトスピーチ法規制・差別禁止法の制定といった課題に、日本政府は積極的に取り組むべきです。
現在、集団的自衛権を容認し平和憲法を蔑ろにする安全保障法制が成立しようとしています。私たちは、日本が過去の過ちを直視せず、再び「戦争のできる国」へと進んでいくことに強い危機感を抱きます。私たち在日コリアンは日本の朝鮮植民地支配により生まれた存在です。それは、日本のアジア侵略と戦争被害の歴史を物語る存在であり、国家権力による抑圧や影響下に常に置かれてきた存在であることを意味します。
加害の事実に目を背け、再び戦争ができる国を目指す今の日本社会の情勢を目の前にし、被害者、社会的弱者の視点から真の植民地支配の克服と東アジアの平和の実現のために、私たちは在日コリアンの歩みを学び、身近な友人、まだ見ぬ在日コリアン青年、そして日本社会と朝鮮半島双方に発信していくことで、歴史を直視し世代を繋ぐ役割を、今後も積極的に果たしていくよう、努めていきます。
2015年8月30日
在日コリアン青年連合(KEY)
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